オービスとは自動速度違反取締装置の通称で、スピード違反車両の速度を計測・撮影する装置です。違反者には後日、呼出状が郵送され違反処理が行なわれます。固定式オービスの数は2021年12月時点で全国に461ヶ所存在します。2010年頃は700ヶ所近くありましたが、年々数を減らし逆に移動式オービスは日増しに存在感を増してきています。オービスはもともとアメリカのボーイング社の製品名で、語源はラテン語のORBIS(眼)からきているようです。
目のマークORBIS
オービスの要素
オービスは自動で違反車両の速度計測と撮影を行い、後日ドライバーを呼び出す仕組みです。オービスには下記の3つの要素があります。
1.ドライバー運転手と車両ナンバーを撮影するカメラがある。
2.速度を自動で計測する装置がある。
3.撮影時にストロボ発光し運転手に違反を認識させる。
ネズミ捕りは、光電管やレーダー式の計測器を用いて、違反者にその場でキップ処理を行ないます。パトカーや白バイが待機し、早い車が来たら追尾したり、レーダーパトカーやレーザーパトカー待機による取り締まりもネズミ捕りに含まれます。但し、高速道路や幹線道路でパトカーや白バイが移動しながら違反車両を探している場合は、特定のポイントではない為、オービスガイドではネズミ捕りからは除外しています。
違反キップ
光電管式ネズミ捕り
固定式オービスの場合、一般道で30キロ、高速道路で40キロ以上の速度超過で撮影されるというのが定説です。但し、移動式オービスの場合は、15キロ程度の超過でも撮影された事例が確認されています。
固定式の場合はほぼ赤色に光ります。但し、大阪府吹田市にあるものは白色に発光します。移動式の場合はLSM-300という機種が赤色で、LSM-310やMSSSという機種は白色で発光します。赤色発光の撮影写真は白黒で、白色に発光するものはカラーです。中型(半可搬式)も赤く光ります。オービスに撮影された時のストロボの明るさは、昼でも夜でも確実にわかります。光るのはほんの一瞬ですが、普通に運転しているのであればはっきりと認識できます。
LSM-300 発光赤色
MSSS 発白色発光
固定式オービスの場合、必ず手前に数枚の看板が設置されています。看板の色やサイズ、文言は地域により異なります。代表的なパターンだと2km手前、1km手前、500m手前に設置されていますが、これも地域により異なり、統一されたルールは無いようです。一方、移動式オービスの場合は、サイトやSNSで告知していたり、警察官が装置付近に待機し違反を実際に確認しているなどの理由により看板を設置しない場合があります。看板を設置する場合でも通常は1枚のみで、形状は縦長で道路の左側路肩や歩道に設置されます。稀に右側の路肩や中央分離帯に設置されることもあります。
関東地方
北海道
山陽地方
移動式オービス用
オービスの種類は、大きく分けて「固定式」「移動式」「半固定式」の 3 種類にわかれます。
LH システム オービス記号:【LH】
路面の下に3本のループコイルを埋設し、その間を通過する時間から速度を計測します。形状は道路をまたぐ門型やF型の支柱にカメラとストロボ、パトランプと主装置の箱が設置されています。新しいモデルだと1台のカメラで2車線を撮影できるものが登場しています。また首都高速環状線ではトンネル内にも設置されています。
LH式オービス
トンネル内
ループコイル式 オービス記号:【L】
LHシステムと同様にループコイルにより速度計測を行ないます。オービスガイドでは解りやすく、路肩に自立しているタイプをループコイル式オービスとしています。(レーダー探知器メーカーなどでは構造により区別してる場合もあります。)全国には古くて稼動していないものから、最近設置された新しいモデルまであります。
ループコイル式旧型
ループコイル式新型
Hシステム オービス記号:【H】
通称ハンペンと呼ばれている、白くて四角いレーダーが特徴です。大阪府には初期型の丸形のモデルも現存しています。ちなみにHシステムの「H」は阪神高速の頭文字から付けられたそうです。Hシステムは製造メーカーが撤退したこともあり、毎年撤去が進んでいます。
Hシステム
Hシステム阪神高速
レーダー式 オービス記号:【R】
古いタイプで現存する場所は、ほんの数える程度しかありません。一般的な構造は、道路上の支柱にレーダー照射部があり、カメラ本体は路肩に設置されています。レーダー式オービスも撤去が進んでいますが、埼玉県と岐阜県にそれぞれ1ヶ所づつSSSというレーダー式の新型が設置されています。
レーダー式オービス
レーダー式オービスSSS
Lp オービス記号:【Lp】
2018年に登場した新しい方式のオービスで、レーザーで速度計測します。形状は路肩に自立するタイプです。大阪府阪南市(2021年12月現在)に1箇所のみ設置されています。(オービスガイド調査員が始めて他のオービスとの違いに気付き、交通ジャーナリストの今井氏が情報公開請求した資料により、これがLpオービスだということが判明しました。)
Lpオービス
Ls オービス記号:【Ls】
Lpと同時期に登場したLs型のオービス。レーザーで計測するのは同じですが、Lpが自立型なのに対しLsは門方やF型の支柱に設置されています。大阪府豊中市、吹田市、枚方市(2021年12月現在)に1機づつ計3ヶ所に設置されています。
Lsオービス
オービス記号:【Lp】
オービスのベースとなる土台部分だけを複数個所に設置しておき、カメラなどの本体を定期的に移動してゆくタイプです。2021年12月現在は、阪神高速の3ヶ所の非常駐車帯に土台部分が設置され、不規則に本体部分が移動している状態です。
半固定式オービス土台部分
半固定式オービス拡大
小型(可搬式)オービス記号:【iS】
1人でも移動できる小型のオービスです。三脚に載せて設置しますが、1畳ほどのスペースがあればどこにでも設置できます。レーダータイプとレーザータイプがあり、レーザータイプはトンネル内でも運用されています。運用時は必ず近くに警察官が待機しています。
移動式オービス運用中
移動式LSM-300
移動式LSM-310
移動式MSSS
中型(半可搬式)オービス記号:【iM】
トラックで運搬設置して、数日間無人での運用も可能なタイプです。形状はロボットのような見た目で土台にはバッテリーが内蔵されています。埼玉県と岐阜県に各1機づつ配備されていますが、最近は目撃情報が少なくなっています。
移動式中型埼玉仕様
移動式中型岐阜仕様
車両搭載式 オービス記号:【iC】
ワゴン車の車両後部にカメラなどの機材を搭載したオービスです。路肩に停車した車がそのままオービスになります。このタイプは既に運用を終了しています。近いものでレーダーパトカーやレーザーパトカーがありますが、これらはオービスとしての運用ではなく、その場で違反処理を行なうため「ネズミ捕り」に分類されます。
車両型移動オービス
レーダーパトカー
レーザーパトカー
【文章差し替え】 固定式オービスと間違えられる代表が犯罪捜査用の「Nシステム」です。他にも移動時間を計測する「Tシステム」、ループコイルを埋設した「トラフィックカウンター」や「自動重量計測装置(WIM)」があります。 移動式オービスと似ているものには、国土交通省の車検切れ車を発見する可搬式ナンバー自動読取装置で通称「車検切れ発見機」、歩道橋上に設置されることが多い「交通量調査カメラ」、交通事故現場検証用の「3Dスキャンカメラ」などがあります。
Nシステム
自動重量計測装置(WIM)
車検切れ発見機
交通量調査カメラ